隣の隣の街まで酒を飲みに行ってきた。ここは田舎なのに、2駅でシュッとしたお洒落な都市に着く。市街化の波が、ウチから10キロ向こうの川で止まったのだと思ってる。僕が子どもの頃から変わらない。いろんなことがすごいスピードで動いていくというのに。

一緒に飲んだ先輩とは、初めて会った時から10年くらい経っていて、もう完全にいい年なのに、相変わらず少年みたいなことばかり言っている。少年みたいって、いい意味と悪い意味と、2通りの響きがありそうだけど、その人と会うと大体が後者。キャラクターとしては好きで、誘われると飲みに行くのだけど、毎回少しイライラするし、態度にも出てしまう。

最後の方は酔いが回っていて、仲のいい感じになっていた。また飲みに行くのだろう。そして少し気まずくなって、迫る終電が全てを洗い流してくれる。

シュッとした都市では店員さんが外まで見送ってくれた。2件目なんてチェーン店だったのに。流行っているのだろうか。駅の上り階段では、油断しきった女の子が瞬間ではないレベルでパンツを見せてくれた。酒代はほとんど払ってもらった。概ねいい日だった。

コンビニでタバコを買う。だんだんと寂しい気持ちになってくる。1日、たくさん話をして同じくらいたくさんのタバコを吸う。それでもなぜ、酒を飲んだ帰り道で決まって寂しくなるのだろうか。

その時だけは特別な感覚を味わえる。大人になると、自分が寂しいなどと、はっきりと実感することはほぼないし、例えあってもまともな理性があれば押し込めようとする。俺は寂しい、俺は寂しいと頭のなかで繰り返す。国道にはほとんど車なんて走っていない。ここは田舎だから。市街化はしなかった。発展もしないし過疎化もしない。寂しいとだけ思うようになっていた。