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雪が降っている。毎週、降ってる。ここ2週間の週末だけのことなのに、もう記憶に改ざんを施して、それが毎週のことであるかのように思う。明日もきっとそうだろうと。土曜日に雪になると仕事に行かないといけないのだけど。どっちがいいのだろうと思う。どっちがいいか、選べるのだろうか。俺は、俺が望むことで何かを変えることが、そもそもできるのかどうか。生活が、希望によって適切な変更を遂げることがあるのか。もう相当な昔に、たぶん雪が降る、という期待だけで北の方に住むようになって、後からそこはただ寒いだけで、雪なんてろくに降ることがないことを知った。寒くて、知り合いも1人もいなくて、僕は病気のようになった。頭の病気。でもあれは楽しかった、生きていることがスリリングだった。そういうことならば、あるいは選べるのかも知れない。一年も経たずに帰ってきてしまったけれど。あの頃の僕を知っている友人は、僕の頭がすごくマシになったと言い、新しくできた友人にそのことを話すと、そんなことがあったんだ、とだけ言う。物事を正しく、徹頭徹尾に脚色なく伝えるのはとても難しい。うまくいかないことが寂しかったり、そうなったことに安心したりする。それを選んだのか。最近、僕の心の中のブコウスキー伊集院静になった。今日、図書館まで行って伊集院静の本を借りようと思っていたのに、この雪の中で出かけることができない。雪が好きで、毎日雪が積もっていくところに住みたかった何年も前の理想に、今、横浜で近づいているような、それは一時の迷い。どうせうまく話すことができない。なのに、同じことを何度も話している。それはとても楽しい。