ジャンクション

職場の、前にいた課のある建物まで行く用事があって、少し寄ってみるととても忙しそうだった。友人が今日は徹夜だと思う、とたまにあることのように話していた。会いたかった人は席にいなくて、タバコでも吸いに行ったのかも知れない、と予想、けれど喫煙所にもいなかった。そのまま立て続けに2本、タバコを吸った。目の前では工事をしていた。随分昔からしているように感じた。あっさり変わってしまうことが多かったり、逆にそんなことだけがまったく変わっていなかったり。横浜駅の工事だって、あれはいつ終わるのだろう。僕にしてみれば、何なら、一生やってくれていても構わない。誰かとそのことを話す、10年後なんていうのは想像してみてもそう悪くない。その頃には、横浜駅の駅ビル群は空に林立し、それでもまだいくつかが建設中なのだ。ジャンクションは解体されつつある。横浜駅から見上げる解体中のジャンクション。遠くを見て、それは実際にすごく遠くを見ている。大きいものは大体が近くにあるように見える。相当な昔に、東京の学校に通うようになった僕は、大学に向かう交差点から毎日、そびえ立つ東京タワーを見た。とても大きく感じた。それなのに、ある日思い立ち、歩いて行ったそこはとても遠かった。そして僕には、事実に反して、それが近いことのように感じる。遠近感。自分にはとても近いもののように感じられる、場所、人、時間。